入門編 ジェラートを知る
おうちで作るジェラート
Il gelato fatto in casa
ここまで読んでくださったなら、きっと作ってみたくなっているはずです。プロの機械がなくても、家庭でジェラートは楽しめます。この本で学んだ仕組みを思い出しながら、キッチンでの小さな実験に出かけましょう。完璧でなくていいのです。
プロの機械がなくても
第6章で、ジェラートのなめらかさは氷の粒の細かさで決まると学びました。お店では、専用の機械が冷やしながら練り続けることで、この細かさを保っています。
では、その機械がない家庭では、なめらかなジェラートは作れないのでしょうか。いいえ、そんなことはありません。原理さえわかっていれば、家庭の道具でも十分に近づけます。大切なのはただ一つ、凍っていく途中で、氷の粒を大きく育てないこと。この一点を、いくつかの方法で工夫していきます。
氷の粒を、育てない工夫
家庭でなめらかさに近づく方法は、大きく二つあります。
一つめは、家庭用のアイスクリームメーカーを使うことです。冷やしながらかき混ぜてくれるので、お店の機械と同じ原理で氷の粒を細かく保てます。手軽になめらかに仕上げたいなら、いちばんの近道です。
二つめは、機械を使わない方法。冷凍庫でミックスを凍らせながら、30〜40分おきに取り出して、しっかりかき混ぜる——これを数回くり返します。地道な作業ですが、かき混ぜるたびに大きくなりかけた氷の粒がくだかれ、なめらかさに近づきます。フォークや泡立て器で混ぜてもよいですし、いったんしっかり凍らせてから、ミキサーで一気に砕く方法もあります。
学んだことが、そのまま効く
ここで、この本で学んだ知識が役に立ちます。うまく作るコツは、じつはもう手のなかにあるのです。
砂糖を減らしすぎないこと。第3章で、砂糖にはやわらかく保つ働きがあると学びました。健康を気にして砂糖を大きく減らすと、ジェラートはカチカチに凍って、スプーンが立たなくなります。甘さはやわらかさと表裏一体——これを思い出してください。
食べる少し前に、冷凍庫から出しておくこと。第1章や第6章で見たように、ジェラートは少し高い温度でこそ、やわらかさと香りが開きます。カチカチのまま食べず、数分ほど室温におくだけで、口どけと香りがぐんとよくなります。
できたてを、その日に楽しむこと。家庭の冷凍庫は開け閉めが多く、温度が変わりやすいため、氷の粒が育ちやすい環境です。だからこそ、作ったその日に食べるのがいちばん。これは第6章で見た「できたてがいちばん」の、家庭版です。
いちばん簡単な入口
「なんだか難しそう」と思ったなら、いちばんやさしい入口からどうぞ。よく熟れた果物を凍らせて、なめらかになるまで撹拌するだけ。これだけで、りっぱなソルベになります。とくに、もともと質感のなめらかな果物は、少ない手間でとろりと仕上がります。

まずは果物のソルベで「凍らせて混ぜる」感覚をつかみ、慣れてきたら牛乳や生クリームを使ったミルクのジェラートへ——と進むのがおすすめです。もし卵を使うレシピに挑戦するときは、第4章で学んだ加熱を思い出してください。卵は必ずしっかり火を通し、安全に配慮しましょう。
職人の視点
失敗も、実験のうち
家庭でのジェラート作りは、うまくいかないこともあります。凍りすぎたり、少しザラついたり。けれど、それも立派な実験です。なぜそうなったのかを、この本の仕組みに照らして考えてみてください。
固すぎたなら、砂糖が足りなかったのかもしれない(第3章)。ザラついたなら、かき混ぜる回数が足りなかったのかもしれない(第6章)。理由を考えられること——それこそが、ここまで読んできたあなたが手に入れた、いちばんの力です。
さて、自分で作ってみると、お店のジェラートのすごさが、あらためて見えてきます。けれど、その「すごさ」を誰かに伝えようとすると、意外に言葉が足りないことに気づくはずです。次の章では、感じたことに名前をつける七つの言葉をお渡しします。
章末クイズ3問
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アイスクリームメーカーを使わずに、家庭でなめらかさに近づくには、どうするのがよいでしょう。
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家庭で作ったジェラートが、少しザラついてしまいました。この本の仕組みに照らすと、まず何を疑うとよいでしょう。
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家庭で作ったジェラートは「作ったその日に食べるのがいちばん」とされます。この章が挙げる理由はどれでしょう。
選ぶと、その場で答え合わせになります。外れても、消していけば道が残ります。